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まいにちえがお新聞

女子大生の日常のような雑記です。ラジオやってます。神木隆之介くんとウニ丼を食べるのが目下の目標です。→erimomo.com←

舐めていた。

 

私は人の恋心を、舐めていた。

 

なぜ自分事となるとこんなにも色濃く情緒の振れ幅を細かく覚えているのに、それも時間の経過に伴ってどんどん色が薄くなり、いつしかその感情自体に疑問を抱くようになり、共感できなくなるのだろう。

 

私は恋心を、自分の心の容量と時間軸のグラフのなかでしか感じ取れないのかもしれない。

 

 


さっき、深夜も2時半を回って布団に潜り込んで目を閉じようとしていたころ、友人から電話がかかってきた。

 

恋人と別れて、どうにもならず私に電話をかけてきたようだ。

 

彼女はすでに泣いていて、自分ではどうにもできない感情に振り回されながら、とにかく意志とは関係なく流れてくる涙をそのままに話しはじめた。

 

彼女は何回も「もう会えないんだ…」とひとりごとのように呟いた。

もっと一緒にいたかっただけなのに。うまくできなかったのかな。最初から付き合わなければ、こんな幸せを知らなければよかった。今すぐ電話して声が聴きたい。もう連絡できないんだ。寂しいな。明日から何しよう、せっかく連休取ったのにな。寂しいな。一人ぼっちだな。もっと声が聴きたかった。もっと電話したかった。別れたくなかった。

 

彼女はどこかに悔いを残しつつ、けれどももうどうしようもない二人の関係を必死で受け入れようとしていて、とにかく、とにかく聞いているこっちも辛かった。

 

 


そうだ、失恋したときってこんな気持ちだった。

 

人の感情の温度を直に感じて、久しぶりに私もその温度を思い出して、気持ちが伝染して、苦しかった。

 


「好きなのに、どうしてうまくいかないんだろう。」と彼女は何回も言った。「好きなのに。」この一言は本当に重い。

 

世間の人々がどんな恋愛をして、どんな終わりを迎えているのか実際のところは分からないけれど、ある程度年齢を重ねた者同士の恋愛というのは、どちらも好きだけど付き合えなくなる、ということは多いのではないかと思う。

 

好きなのにうまくいかなくなる。相性のせい?自分が不器用だったせい?相手のせい?


恋をしている当人はいろんな原因を探すし、「あの時こうすればよかった」と何度も思い返しては自分が恥ずかしくなるし辛くなることも多いと思う。

 

けど、恋愛って「こうすれば良い」っていう正解なんかないんだよね。

 

それに、好きだからこそ、上手になんて接せない。好きだからこそ、自分の気持ちを伝えたいし、知ってほしいし、分け合いたい。同じ温度で、同じ「好き」を感じあいたい。それが恋人ってものだと思う。

 

だから、どちらかの「好き」の大きさが偏って、伝えたい、共有したい気持ちがたくさん片方にいっても、相手の容量が足りないと零れ落ちちゃうんだよね。

 

そうすると、拾われなかった「好き」の感情たちは、あてもなく不安になって片方のところに帰っていく。

 


うまくいく恋愛はあっても、みんなそれまでに恥ずかしいほどもがいて、苦しんで、泣いて、辛い思いをたくさんしてきたからこそそこに辿りついてきたんじゃないかな、と思う。

 

彼女もきっとこれから、胸がはりさけそうなほど辛い時間を過ごすかもしれないけど、それでも世界は驚くほど当たり前のように回っていくから。

 

時間はきっと傷を癒すし、経験したことは必ずあなたの心を一回りも二回りも優しく、強くしてくれると思う。

 

だから、無理をせず、ゆっくり毎日着実に歩くだけでいい。そうすれば世界はとにかく回り続けて、いつの間にか時間が癒してくれるから。大丈夫だよ。

 

 

 

 


私自身、もう人を好きになって付き合って別れるのが怖くて、全然人を好きになれない。

 

告白をされても、なかなか付き合おうと思えない。付き合う楽しさよりも、別れの辛さがまだ忘れられない。

 

恋人同士でも気持ちの偏りがある場合、好きで好きで仕方なかったほうは振られるとこんなに辛い気持ちになるんだ、って彼女の話を聞いて改めて感じた。その辛さっていうのは、相手が自分と同じ温度じゃなかったんだと気づくことの辛さも含んでる。

 

 

最近ずっと好きと言ってくれる人がいて、付き合うかずっと悩んでいるのだけど。

 

すごく好きでいてくれてるのに、こっちは悩みすぎてずっと返事を待たせていて、もう申し訳なさがピークに達したとき
「もうこれ以上待たせるのも悪いから、現時点で無理ってことを伝えようと思う」

と本人に言ったら、それは全然嬉しくない、と言われた。確かに待つ時間は辛いこともあるけど、きちんと考えて答えを出してほしいし、それぐらいは待つ。その決断は本当に俺のことを考えてるなら、やめてほしい。と。

 

彼は、もし私に「あなたとはやっぱり無理」と言われる日がくると思うと、当たり前のようにラインや電話ができている今が一番幸せだからもうこのままでいい、とも言っていた。

 

すごく寂しそうな声だった。

 

私はその彼の言葉を聞いた時、すごく胸が痛くなった。彼の気持ちの温度が痛いくらい伝染してきて、私は今とんでもないことをしているのかもしれない、と思った。

 

彼は人を好きになる能力がある人だし、別に私じゃなくても私以外に良い人に出会えれば普通に恋愛ができるとこれまでずっと思っていた(実は今でも思っている。だって先の事は正直分からないし、私が彼と付き合わなければこの仮説は絶対に証明されるし)。

だから私にそこまでこだわる理由が分からなかったし、私自身ここまで悩むくらいなら、彼の事を好きな女性が彼と恋愛する期間を少しでも早めにしたほうが良かろうと身を引こうと思っていた。

 

 

でも、多分そういうことじゃないのだ。


人を好きになるって、もうどうしようもないことなんだ。

 

私は本当にばかだ。友人の電話で、彼女の話を聞いているときに、やっとそんなことが分かったんだから。

 

それに、友人がひとりごとのようにつぶやく「もう声が聴けないんだ」や「好きなのにもう会えないんだ」という言葉たちが、まるで私のことを好きでいてくれる彼の言葉のようで、しとしとと胸にはりついて離れない。

 

私自身、もし突然彼の声を聞けなくなって、連絡もとれなくなるとしたらとっても寂しいと思った。でもこの気持ちが恋なのかは分からない。だから分からないなぁと思う。

 

 


けれど総じて、私は人の恋心を舐めていた。

 

というか、忘れていた。しばらく誰かを好きにならないと、心は錆びついてきてしまうものなのかな。


友達の気持ちなら痛いくらい分かるのに、好意を寄せられている人の気持ちにはうまく対応できない。絶対にどこかで傷つけている。


多分、好きでもそうでなくても、人と深いかかわりをするうえですべて完璧にふるまえる人はいないんだろうな。

 

人間って、そういう部分で滑稽だし、実直で恥ずかしくて可愛い気がする。

 

 

いろんな気持ちと言葉が胸にはりついたまま、今夜は寝ます。

おやすみなさい。